2019年7月27日(土)、入校式と第1回基礎力養成講座を行いました。
2019年7月27日(土)、未来の科学者養成スクール(略称:静岡大学FSS)の第3期生42名の入校式および第1回基礎力養成講座を行いました。
FSSは、科学技術振興機構グローバルサイエンスキャンパス事業の支援の下、将来、グローバルに活躍しうる科学技術人材を育成することを目的として、科学技術への好奇心・探究心を有する高校生に対し、先端研究への理解を深める講義や探究力を高める演習等を実施するとともに、研究室に受け入れて、生徒自らが行う探究活動を支援します。
丹沢哲郎副学長の挨拶、FSS運営委員長である瓜谷眞裕先生(理学部化学科)の受講にあたっての諸注意等に関する説明の後、瓜谷委員長によるサブレクチャー「研究者倫理〜研究結果の取り扱いを中心に〜」を行いました。信頼される科学者や技術者に必要なことは何か?、不正を避けるために必要なことは何か?、研究成果を発表するとき注意することは何か?、など研究における心構え、自然科学研究の魅力や成果の発表における8つの重要事項を示されました。
午後は、大西利幸先生(農学部応用生命科学科)によるメインレクチャー「なぜ植物は良い香りがするのだろう? 〜化学の目で見る植物生態学〜」です。様々な食品、飲料また化粧品には植物が生み出す多数の「香り」が含まれている。植物がなぜ「香り」を生み出すのか?、「香り」の生理学的意義に関する基礎的な知見および最新の研究事例を化学の視点で紹介されました。終盤にゲラニオール液と酸化マンガンを用いたにおいに関する簡単なグループ実験を行いました。受講生からはなぜ人間は800もの嗅覚受容体があるのか?、味覚のようにそれぞれの香りに対する受容体はどの場所に存在するのか?、臭いにおいの代表である酪酸は分子構造の変化によって良いにおいに変わるのか?、など今日の講義内容を捉えた鋭い質問が出されました。
基礎力養成講座終了後に、事前に提出した研究力養成コースの研究提案書に基づき、各受講生の研究テーマを指導していただく先生方との面談を行いました。
<受講生の感想など(ニュースレター掲載分を含む)>
「香り」が、空気中を漂っている化学分子であるということについて、とても驚かされた。また、構造式が少し変わっただけで全く違った匂いになるということの立証を実験を通して自分の体を使って体験することによって、より一層理解を深めることができた。
化学の知識無しでも、十分に講義を楽しむことは出来たが、化学構造式を理解することが出来れば、さらに深い理解が出来たのではないかと感じた。今後の化学の勉強の励みにもなった。
構造が変わるだけで香りが変わるというのは、薬として使われる化合物に似ていると考えました。東北大学の模擬講義において、薬として使われる化合物でも、構造異性体や光学異性体、官能基が異なるだけで薬の効果が変化してしまうということを学びました。人間は、少しの構造の差異を感じ取っているということに驚きを感じます。
ミイラの語源が防腐作用を持つ香り物質のミルラに由来しているとの話は驚きだった。香気成分が、病原菌の細胞膜損傷を引き起こし、細胞機能を失わせることにより抗菌作用、防腐作用を持つとのことは興味深く、また、古代の人々がこのことを理解していたことに驚きを覚えた。
今後、ニオイの物質を正確に記録出来るようになり、人工的に作り出せるようになれば写真のようにニオイも記録出来るようになると思う。このようにニオイの研究というのは工学の発展にも大いに貢献すると思う。